["空間転移術"混沌の道]
キョウが術を唱えシンジと共に消えていった。
その時、赤い海、この世界から最後の生物が消えていった。
第二話「出会い、始まり、使徒襲来 !」
シュウジ
第三新東京市。
2001年に新型N2爆雷によるテロで壊滅的な打撃を受けた東京都に変わり、
急遽、長野県松本市に暫定的な都市が建設された。
工事からわずか三年で新東京は首都としての役割を果たす所まで急成長する。
それが第二新東京市。
そして、政府は次の段階に第二新東京に続く次の都市の建設に着手した。
建設場所は神奈川県箱根町。
三番目に作られし東京。
つまり、これが第三新東京市である。
ー西暦2015年ー
蝉の鳴き声の中、国連軍の戦車が海岸沿いに並んでいる。
海からくる何かを迎え撃つかのように。
「目標確認」
「距離200」
「砲身2時の方角へ向けろ」
その「何か」は水飛沫とともに現れた。
「攻撃開始!!」
巨大な爆音が響き渡る。
『正体不明の移動物体は依然本所に向かって進行中。』
『目標を映像で確認、主モニターに回します。』
巨大なモニターに映し出される謎の巨大物体。
それを見て初老の男が言う。
「15年ぶり………だな。」
サングラスをかけた男がそれに答える。
「ああ………間違いない。使徒だ」
ジーワ・・・・
ジーワ・・・・
ジーワ・・・・
ジーワ・・・・
「緊急警報! 緊急警報! 本日12時30分、東海地方を中心とした関東・中部全域に特別非常事態宣言が発令されました。住民の方々は速やかに指定のシェルターへ非難してください。繰り返しお伝えします――」
電柱の上に付けられたスピーカーから流れる避難勧告が辺りにこだましていた。
耳朶を打つセミの声。
ジリジリと肌を焼く、セカンド・インパクトによって当たり前になった真夏の暑さ。
夏の風が、シンジの髪を撫でた。
「ちぇ、電話もだめか。さ〜〜って、どうしようかな」
シンジはポケットに手をやり、中から一枚の写真を取り出した。
写っているのは三十代手前にも関わらず、黄色のタンクトップにデニムのホットパンツを穿いて、中学生には刺激的なポーズをとった長い黒髪の女性――葛城ミサトだった。
寄せられた胸のあたりにマークを付け、『ここに注目!』などと書かれている。
「ヘンな女・・・」
そんなことを呟いていたら遠くの方から声が聞こえてきた。
「お〜〜〜い」
「うわ、そっくりだよ。」
自分と同年代ぐらいの少年が二人手を振りながらやってきた。
「う、うわーーーー!!ぼ、僕がもう一人いるーーー!!!」
シンジはひどく困惑していた。
それはそうだろう。自分と同じ顔の少年がいきなり手を振りながらやってきたのだから・・・。
「おいおい、落ち着けよ。うちの弟に失礼だろ〜〜?」
自分と同じ顔の少年と、一緒にいたもう一人の少年が少し笑いを堪えながら言ってきた。
「ご、ごめんなさい、いきなりの事で驚いてしまって・・・」
シンジはすごくすまなそうに言う。
「いや、別にいいんだよ。
僕も凄く驚いていたし。」
自分と同じ顔の少年が、安心させるように言ってきた。
そしたらもう一人が、
「そうそう。
あ、そういえば君、碇シンジ君?」
と尋ねるように聞く。
「はい、僕が碇シンジですけど・・・あなたたちは?」
「あ、ごめんごめん。
普通だったら、こっちから名乗るのが礼儀なのにね。
俺の名前は神楽キョウ。
そしてこっちが「僕の名前は神楽シンイチって言うんだ。「おい(怒)」
こっちで怒っているのが僕の双子の兄なんだ。「おい、シンイチ(怒)」似てないけど。」
この二人組ならわかると思うが、逆行してきたシンジ達だ。
シンジは名を変え、シンイチと名乗っている。
結構シンイチも、性格が変わっている。
「あ〜、敬語もいいから。14歳でしょ?だったら必要ねーよ。俺たちも14歳だし。
それよりもシンジ、お前、"NERV" に行くんだろ?」
キョウはシンジに尋ねる。
「へ?ネルフ?」
「そう、ネルフ。僕たちも行くんだけど一緒に行く?」
シンイチはシンジに言った。
「でも、この人を待っているんですよ。(時間過ぎてるけど)」
シンジはミサトが写っている一枚の写真を取り出して、二人に見せる。
「あ〜、この人?でも、もうそんな時間はないんじゃない?ほら。」
キョウは空を指差す。
シンジが空を見るとそこには、上空を、戦闘機が2機、高速で飛行している。
ビル群の間からから見えるそこには、飛行機雲が鮮やかな軌跡を残しながら飛んでいる・・・。
そのビルの間を縫うようにして巡航ミサイルが飛びすぎる。
ミサイルのたてる轟音と衝撃に顔をしかめたシンジは一瞬惚けたような表情をした後に叫んだ。
「じゅ、巡航ミサイル!?」
一瞬遅れて、空気の振動を肌で感じられるほどの爆音がシンジの鼓膜を強打した。
反射的に耳を押さえ、身を屈めるシンジ。
「……なんなんだよ、まった……」
ぼやくような言葉が途中で切れた。
「……何だよ、あれ……」
シンジは、道路の真ん中で、茫然と立ち尽くしている。
シンジの視線の先では、異様な光景が繰り広げられていた。
国連分の戦闘機に囲まれ、集中砲火を受ける使徒。
激しい砲火を意に介した様子も無く歩みを進め、ときおり掌から打ち出す光の槍のようなもので戦闘機を打ち落とす。
「よし、急ぐぞ!」
キョウはどっから持ってきたのか、車を持ってきた。
だぶんシンジが空を見上げている間に持ってきたのだろう。
「早く乗れ!」
シンジとシンイチは、キョウの乗っている車に飛び込むように入る。
その時破壊された機体の破片が、シンジの方に飛んできた。
シンジは思わず身を屈める。
["風術"神風障壁]
シンイチは素早く術を練り発動させた。
機体の破片はシンジには当たらずに、まったく別の方向に飛んでいった。
それは駅前のビルの一つに突っ込むと、破砕音と共にコンクリートを砕いた。
「急いで!」
シンイチはシンジに呼びかける。
「は、はい」
シンジは車に飛び乗った。
そして車は第三新東京市に向けて発進した。
<第三新東京市・ネルフ本部発令所>
『目標は依然健在。第三新東京市に向かい進行中』
『航空隊の戦力では、足止めできません』
「総力戦だ。厚木と入間も全部あげろ」
「出し惜しみは無しだ!!なんとしてでも目標を潰せ!!」
興奮するあまり、軍人の一人が鉛筆をへし折った、少々冷静さに欠くようだ。
UN軍の猛攻は続く。
だがそれも使徒には何の効果もなく平然としている。
「なぜだ!?直撃のはずだっ!!」
「戦車大隊は壊滅・・・誘導兵器も砲爆撃もまるで効果無しか・・・」
「駄目だ!!この程度の火力では埒があかん!!!」
その背後で先ほどの初老の男が落ち着いた様に言う。
「やはり、ATフィールドか?」
「ああ、使徒に対し通常兵器では役に立たんよ」
やはり落ち着いて再びサングラスの男が答える、軍人達とはえらい違いである。
軍人たちに電話がかかる。
「・・・わかりました。予定通り発動いたします」
所変わって疾走中の車中。
シンジを迎えに車を走らせている一台のアルピーノ・ルノー。
「ダァ〜何なのよ!!……待ち合わせの時間にチョッと遅れたくらいで、いなくなるなんて!!
そりゃぁ〜昨日飲みすぎた所為で、寝坊したり、地図を忘れて、道に迷って、2時間遅れたのは、悪かったけど!!
ちょっち遅れた位で、行き成り待ち合わせの場所から居なくなるなんて、酷いじゃない!!」
2時間はちょっとじゃないと思うが・・・・。
ミサトが車窓から外を見ると、驚愕の顔で戦闘機が離れていく使徒を見上げる。
「ちょっとN2地雷を使うわけ!?」
おそらくこれから来るであろう、爆風という名の衝撃にミサトは考えるだけで、背中に冷汗が流れるのを感じた。
とっさに伏せるミサト。
数瞬後、辺りに衝撃波が走り抜ける。
彼女の車はたまらず吹き飛ばされた。
「やった!!」
軍人の一人が立ち上がり叫ぶ。
「残念ながら君たちの出番はなかったようだな」
初老の男とサングラスの男を見ながら言う。
『衝撃波来ます』
センサーと主モニターの映像が消え、代わりにサンドストームが映る。
『その後の目標は?』
『電波障害のため、確認できません』
「あの爆発だ。ケリはついている」
自信満々に言い放つ軍人の一人、一体何を根拠にした発言なのだろう。
『センサー回復します』
『爆心地に、エネルギー反応!!』
「なんだとぉ〜っ!!!」
自信満々だった軍人の一人がその報告に愕然し叫ぶ。
『映像回復します』
モニターにはほとんど無傷まま残っている使徒。
立ち上がって驚愕する軍人たち。
「わ、我々の切り札が・・・。」
「なんてことだ・・・。」
「化け物め!!」
一人が悔しげに机を叩き、軍人たちは力無く座り込んだ。
モニターに映る爆心地に佇む使徒。
さしもの使徒もあの爆撃に少しは傷ついた様である。
顔の様な物の下から新たな顔がもう一つ増えている。
「予想通り自己修復中か」
初老の男がモニターを見て言う。
「そうでなければ単独兵器として役に立たんよ」
サングラスの男が答える。
その時、使徒を映像を送っていたヘリが、使徒の放った光線で破壊され再び映像が途切れる。
どよめきがあがる。
「ほう。たいしたものだ。機能増幅まで可能なのか」
「おまけに知恵も付いたようだ」
「この分では再度侵攻は時間の問題だな」
そう言う初老の男とサングラスの男だが、まるで驚いた風でもなく動じてもいない、 相変わらず冷静そのものだ。
モニターには、先ほどとは違う角度で再び使徒が映る。
サングラスの男と初老の男が、軍人たちと向き合っている。
「今からこれより本作戦の指揮権は君に移った。・・・お手並みを見せてもらおう」
電話を置くと軍人の一人が苦々しく言う。
「了解です」
サングラスの男が答える。
その受け答えに、皮肉混じりの質問を返す。
「碇君。我々の所有兵器では、目標に対し有効な手段が無いことを認めよう」
「だが、君なら勝てるのかね?」
碇と呼ばれたサングラスの男。
碇ゲンドウはサングラスを押し上げもって返す。
「そのためのNERVです」
「・・・期待しているよ」
捨てゼリフを残すとテーブルが沈み、本部から退場していく軍人達。
『目標は今だ変化なし』
『現在迎撃システム稼働率7.5%』
「国連軍もお手上げか。どうするつもりだ?」
初老の男、冬月コウゾウがゲンドウに訪ねる。
ゲンドウはしばし顔を伏せた後、再び顔を上げ高々を指令を出した。
「総員第一種戦闘配備!」
「総員第一種戦闘配備!!」
「地対地戦用意!!」
発令所が慌しく動き出す。そんな発令所とゲンドウを見ながら、冬月は一度ため息を吐いた。
「レイは戦闘には耐えられん。つまりパイロットがいないぞ?」
「ふ。問題ない。すぐに予備が届く」
「・・・自分の息子を予備扱いとはな」
冬月の言葉には答えず、ゲンドウは黙ってサングラスをあげた。
ネルフ・第三ケイジ
赤木リツコが初号機の最終チェックを行っていた。
其処に、保安部から連絡が入る。邪魔をされて不機嫌になるが、一応出る。
『正面ゲート前にサードチルドレンと思われる少年がいます。』
「?・・・・・・ミサトは?」
『・・・・・・・・・いません。ただ民間人が2名います。』
「・・・たぶん寝坊したのね。良いわ、私が迎えに行きます。」
そう言って通信を切ると、溜息をつくリツコであった。
≪ゲートが閉まります。御注意ください。
……発車します。≫
N2爆雷の爆風は受けずにネルフゲートまで辿り着いたキョウ達が乗る車が、カートレインに着きジオフロントへと向け動きだす。
「あ〜そうだ。これ、読んどいてくれる?」
キョウはシンジに書類を渡した。
その書類には『ネルフについて』『使徒とは』『エヴァンゲリオンの操縦方法』など手書きで女の子が書いたような文字だった。
「これは?」
シンジは不思議そうに書類を見た。
「シンジ、これからお前はこのままいけばエヴァに乗り、上で見たような使徒と戦うことになるだろう。」
キョウはシンジにゆっくり言った。
「そ、そんな・・・なんでですか?」
「使徒を倒さなければサードインパクトがおきることになる。
ちなみにサードインパクトとは人類滅亡って所かな」
キョウは思い出すように言った。
「人類滅亡!?」
「そ。使徒を倒すにはエヴァしかない。そしてエヴァを動かすには適格者、チルドレンだけだ。」
「無理だよ!?そんな見たことも聞いたこともない物乗れるはずないよ!!」
シンジは叫んだ。
「そんな急に乗ってなんて言ってないよ。それを読んで良く考えてってこと。」
シンイチはなだめる様に言った。
「ま、ゆっくり考えろ。ただ人類のためとかどうしようもない答えはやめろよ。」
「へ?人類滅亡を防ぐためじゃないの?」
「命を懸ける戦いにそんな理由じゃ死ぬだけだ。」
キョウは静かに言った。
けれどもその言葉は車の中に酷く響いていた。
「(やっとこの時が来た。今度は絶対守ってみせる。
そして、絶対にあの紅い世界にはさせない!!)」
シンイチは目を瞑った後再び目を開き、視線を車窓の外のジオフロントに向け、決意の光がある瞳でネルフ本部を見ていた。
後書きのようなもの
「うわ〜〜!!ぜんぜん進まないよ〜〜〜!!!」と叫んでいるシュウジです。
逆行してきたシンジはシンイチにしました。
「(うわ〜〜、凄い安易だ〜〜)」とこの話を書き終わったとき頭をよぎりました。
ちなみにシンジに渡した書類はキョウが書きました。
モデルにしている友人も女の子が書いたような文字です。
それをはじめて見た時「(やっぱり女じゃないのか?)」と思ってしまいました。
次話から急展開の予定です。
出来れば感想などよろしくお願いします。